今回は、久々の関西からのオープンハウス巡り。
中平勝さんのレポート。
街づくりワークショップやセルフビルドでのリフォーム、趣味が高じて古物商まで巾のある活動を展開している
大西崇之さん(エイアールジー)が設計した「後輩の家」だ。
大阪梅田から電車で約10分、駅から徒歩で15分程の住宅街。30年程前につくられた大きな区画に木々が育ち、ゆったりと成熟した雰囲気のある街並だ。ただ、周辺を見てみるとここでも世代交代などで敷地が2つ、3つに分割されて、狭小住宅が敷地いっぱいに建ち始め、従来の環境からは変わりつつあるようだ。
大西さんの大学の後輩のGさんご夫妻は、他の土地も検討されたが、結局、奥様の実家の東隣に家を建てることを決められた。
区画割の残地とでも言えそうな、間口3.5m程の敷地に、道路からセットバックして白い箱が控えめに置かれている。「え、増築?!」。道路から、実家共々眺めていると、何だか実家の庭に建てられた大きな子供部屋のようだ。もちろん新築なのだが。
道路から駐車スペースを通って、玄関に入ると床は実家の庭の高さまで上げられ、奥のキッチンまで一気に見通せる。ソファのような感触の階段を上がると右手に大きな掃き出しの窓が2つ。手前の窓からは、実家の玄関まで5,6歩。奥の窓は、土間から南の庭に続いていく。
1階は、リビングダイニングとキッチン、玄関横にトイレと収納、2階への階段の下に掘り込まれた畳スペース。2階は、夫婦のベッドスペースと予備スペースが階段を挟んで間仕切り無く続き、奥に洗面と最小のユニットバスが設けられている。
こんなにシンプルな理由は、実家の隣に建っていることが大きな要因。大西さんは、実家との関係や生活を読み解き、2軒でひとつの2世帯住宅として、お互いを補完するように必要なものだけをこの住宅に計画されている。
例えば、大きなお風呂は実家にあるからユニットバスは最小でOK.ダイニングからすぐ出られる実家の庭は、子供の遊び場に。食事も庭やダイニングで両親と一緒に楽しめる。鉄骨で造られた2階のベランダは、実は実家の敷地に増築したものだ。
リフォームを数多く手掛けられている、大西さんらしい増築のようにつくる(リフォーム的)方法が、親子2世帯という生活に対して清々しいリアリティのある回答につながっている。
さらに、実家との間に生まれた空間は、道路から奥まった配置と相まって、街区の心地良い隙間を作り出し、変わりつつある街並に対しても示唆するものがあると思う。
「これからこの家をどう使ったろかなと一緒に考えるのが楽しみです。」と話すご主人と大西さん。先輩と後輩の絆は、設計者と施主という関係になって、ますます強くなったようでした。
大西さんのブログにもOpenHouseの様子がレポートされている。
■Data
・敷地面積…67.85m2(20.52坪)
・各階面積…1階:38.90m2 2階:38.90m2
・延床面積…77.80m2(23.53坪)